浸透する違法無線機器>知らずに使っていませんか?

今日はフリーライセンス無線機の話題から離れて時事ネタです。
今朝の静岡新聞の朝刊の社会欄に「悪質客引き一斉摘発 静岡市葵区繁華街」という記事が目に入りました。客引き(ポン引き)行為はいくら悪質であっても犯罪としての立証が難しい事から、これまで野放しに近かったのですが、彼らが外国製トランシーバーを使って店とやりとりしている事に着目し、国内非認可の無線機の使用を大義名分に取り締まりに乗り出した訳です。結果的には別件による逮捕なのですが、電波法違反とはいえど犯罪には変わりません。
これら外国製トランシーバーは、FRSまたはGRMSと呼ばれるもので価格が安く(980円~5000円)、遠距離通信も可能なため、繁華街の客引きでなくても一般の方が違法と知らずに使っている事も多いのです。罰せられた場合、過大な罰金刑(支払えない場合は懲役刑)が処せられます。
警察から注意されて初めて「今まで使っていたこの無線機って、違法品だったの!?」などとならないよう、身近に存在する違法無線機をいくつか紹介をします。

■FRSトランシーバー/GMRSトランシーバー
最初に紹介しました、現在最も広く浸透している外国仕様の無線機です。昔は違法無線機といえば、アメリカ向けCB機が代表だったのですが、主役の座を明け渡しました。FRSおよびGMRSとはアメリカで認可されている規格の名称です。日本では公共インフラの管理業務に使用する無線装置の通信を妨害する可能性を秘めているため、使用は禁止されてます。しかし、FRS/GMRSトランシーバーを販売・流通させる側には一切の罰則や制限が無い事から、バラエティショップや雑貨店、リサイクル店など、2台1組のパック入りで広範囲に販売されており、店員でさえ違法と知らずに売っている状況です。さらにオークションサイトは野放し状態です。落札後に違法と気付いて返品を申し出ても「正当な返品理由でない」と突っぱねられます。
総務省から違法であるとの注意喚起は行われていますが十分とは言えず、洞爺湖サミットの際に応援で警備に出動した警察官が違法と知らずにFRSトランシーバー使用して摘発されている他、市内のアマチュア無線機店に大手カーディーラーの営業マンがFRSトランシーバー用のイヤホンマイクを大量に注文したいと相談に来るなど、違法品という認知が使用者側に不足している状況です。最近の浜松祭りもアマチュア無線機が使われるような事も無かったですが、凧揚げ会場ではあちこちでFRS/GRMSトランシーバーの使用が確認できました。FRS/GMRSトランシーバーの外観的な特徴は、下の画像のようにスタイリッシュな卵型をしたものが多く、梱包のパッケージの表記や説明書は全て英語なので、すぐ判ります。

FRS/GMRSトランシーバーの一例


なお、罰金の最大額も違法CB無線機の利用よりさらに高額な300万円が課せられますので、即刻に利用を中止して下さい。

■ベビーモニター(赤ちゃん音声受信装置)
FRS/GMRS無線機に次いで最近出回っているのは外国製のベビーモニターです。ベビーモニターとは赤ちゃんの泣き声や映像を無線で送信し別の部屋で見守ることができるカメラ付きワイヤレスマイクとモニターのセットです。日本の電波法に準拠したベビーモニターも存在するのですが、業者が電波法に触れる事を認識しないまま外国製の安価な商品を多量に持ち込んだものが広く出回っています。日本の電波法に準拠した製品の1000倍の送信出力を有するため、公共インフラ(電気・ガス)の監視機器の無線通信を妨害する事例も発生しており、FRS/GMRSと同様に総務省から注意喚起が行われています。

ベビーモニターの一例と妨害する状況の図


なお、↓の写真の「クマさんコール」を使っている方は要注意です。



商品そのものは日本製で違法ではありませんが、a/bの2つ有るチャンネルのうち、bチャンネルは市民ラジオの8チャンネルと同じなのです。そのため、赤ちゃんを寝かせる部屋がご夫婦の寝室と兼ねている場合、室内の会話や音は、寝室から半径2km以内は大変クリアな電波で放送されているのと同じになります。寝室で聞かれて困るような会話や音が有る方は、aチャンネルへ切り替える事を推奨します。

■ドッグマーカー(狩猟犬発信機)
ドッグマーカーとは狩猟時に猟犬の首にセットし、はぐれてしまった際に居場所を特定するための装置(ビーコン)です。こちらも外国製の輸入品も有れば、日本製であっても技適を取得しないまま売られる違法製品も有ります。代表的なものはビーコンの受信周波数をアマチュア無線用の無線機で行えるように周波数を144MHzにしたものです。他に日本の鉄道会社の安全管理用に割り当てられた周波数帯を使用する悪質な製品も存在します。どちらにしても技適を取得していないドッグマーカーの使用は禁止です。現在、猟銃の携行者は法に対する遵法を特に厳しく求められている事から、違法ドッグマーカーやFRS/GMRSトランシーバーを使用している事が発覚した場合、狩猟に必要な猟銃の携行の許可が取り消されます。

違法ドッグマーカー使用禁止の案内


以上です。
「店頭で売られてたものを使っただけで違法になるの?」と思った方もいるでしょうが、現行法では例え店員に騙されて購入した場合であっても購入者がそれを使用した事が実証されてしまうと罪を問われます。つまり、拳銃と禁止薬物以外は販売する側に一切の規制も罰則も存在しないのです。
本件についての不明点はお近くの総務省の窓口までお問い合わせ下さい。



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