※検索サイトからお越しの方はコチラのURLから入り直して下さい。(検索サイトからのリンク先は画像が表示されません)
【注:紹介する価格は2014年9月当時の時価になります】
今回は運用ネタではありませんが、市民ラジオ(既存機)をオークションで初めて購入される方の参考になればと思い、代表的な機種の特徴と想定価格を紹介したいと思います。誤解が有るといけないので先に表記しますが、ここで評する想定価格とは相場の事ではなく、あくまで性能と機能に対する私的な価格感です。早い話、私だったら出しても良い金額です。
<推奨の仕様>
「
ライセンスフリーラジオとは」のページでも紹介している通り、購入する場合の注意点が有ります。特に始めて買うものであれば、なおさら気を付ける必要があります。
・500mWで8チャンネル実装の機種。
・初めての購入ならばロッドアンテナ装着の機種。
・完動が確認できて、ケースやアンテナに損傷無いもの。
・物理的な改造が施されてないもの。
厳密に言えばメーカー封印があるもの、と追加したいところですが、既存機を製造したメーカーの正式サポートは最新の機種でも2005年に終了していますので、修理を技術力の有る無線機店や個人で施されたものが流通しています。つまり、貼ってあれば更に良いという程度です。
さらに補足すると、封印は元々、改造禁止を知らしめるため、型式認証を受けるメーカーに対して貼り付ける指導が行なわれたものであり、末端の利用者には封印の有無による利用良否の判断は求められておりません。違法改造を行なっていない限り、封印が無い市民ラジオに対し利用禁止の指導や命令が出された事例は無いようです。
<完動確認のポイント>
実際に市民ラジオを選ぶためのポイントを説明します。
・電池ボックスに液漏れが原因の腐食が無いもの。
・海外局または国内違法局の交信が聞こえるもの。(日中に1、2チャンネルあたりで試します)
・相方のテスト機を準備し、500m以上離れて問題なく交信できるもの。
・チャンネルやボリュームを回してスピーカーから「ガリ」音がしないか、小さいもの。
実際の使用に準じて屋外で動作確認を行うのがベストです。
<オークション品の注意点>
オークションで入手する場合、完動の確認を購入前に行なうのは不可能です。大半はノークレーム&ノーリターンで有る事が多いので、発送前に相手に確認してもらうしかありません。実際に自身が使用したものを出展している個人や、無線機の扱い量が多い業者は協力的ですが、アルミホイールやらモデルガンやらDVD等、節操が無い出展を行なっているような業者はダメな場合が多いですし、トラブルも多いです。選ぶ余地が有るなら、無節操な出展者への入札は敬遠しましょう。オークションでハズレの無い落札方法については後述しましたので、
こちらを参照下さい。
<新技適対応について>
新スプリアス基準改正により既存の技適機・検定機は2022年11月30日が使用期限になります。(
追記:適用は延長になりました)新興メーカーによる新型の新技適対応の市民ラジオの市販も始まっていますが、慌てて購入しなくても既存機でも十分楽しめます。新技適機は既存機の使用期限に近くになってからの購入でも遅く有りません。
<機種別の想定価格>
■ソニー
ICB-707(ポータブル):30,000円~40,000円
外部マイクに送信ボタンを内蔵している。ポータブルタイプでは小型。送信・受信共に性能も安定しており人気も高い。程度の良い個体が出回っているが、樹脂の材質に難があるため、酷使されてマイクブラケットが欠損している個体が有る。
ICB-770(ポータブル):20,000円~25,000円(調整済なら+5,000円)
8チャンネルのポータブル機としては最古だが、変調が深く交信相手側も聞き取り易いため、今も大変人気が高い。シンセサイザー式ではないため、混信にも強い。年式が古いので、完動の確認を要する。
ICB-R5(ポータブル):15,000円~20,000円(調整済なら+10,000円)
ICB-770の無線回路を低コスト化してAMラジオを内蔵したモデル。低コスト化のために樹脂製水晶が採用された事が災いし、現存するノーマル個体の殆どは周波数ずれが発生しています。水晶を金属製のものに載せ替えて、再調整されたものを選ぶのが賢明です。
ICB-790(ポータブル):15,000円~20,000円
PLLシンセサイザー制御受信方式を採用し、プッシュ式チャンネルボタンを採用。受信チャンネルをスキャンする機能を備える。日本国内に違法CB局が存在しなければ使える機能だが、役に立たない。当時のPLLシンセサイザー制御受信方式の特徴で、28MHzのCWの混信に弱い。チャンネルボタンのゴムが劣化して無くなっている個体が多い。
ICB-680(ハンディ):9,000円~12,000円 (調整済なら+7,000円)
ソニー最古の8チャンネル機だが、ICB-770と並んで、変調が深い事が理由で今も絶大な人気を誇る。流量は多いですが、樹脂製水晶が採用されていた事が災いし、外観の程度には関係なく周波数ズレを起こした固体が多い。金属製水晶に載せ替えて、再調整した個体が出回っていますので、こちらを調達する事をお勧めします。
ICB-670(ハンディ):4,000円~6,000円
ICB-680からSメーターを省略したモデル。詳細はICB-680と同じですが、人気が無く、再調整した個体もあまり出回ってないため、自分で再調整を行なうスキルが無い方は入手を敬遠した方が良い。ICB-680の部品取り用的な存在。
ICB-870/ICB-870T(ハンディ):8,000円~12,000円
ハンディ機としてはスタンダード的存在。ICB-680と比較されると変調の浅さを指摘されますが、運用上は問題ありません。流量も多いので、ソニーのハンディ機の中では最も狙い目です。周波数ズレの心配も無いため、完動品であれば入手後に即利用可能です。
ICB-880/ICB-880T(ハンディ):8,000円~12,000円
ICB-870をPLLシンセサイザー制御受信方式化したモデル。ICB-790と同様に、28MHzのCWの混信に弱い。
ICB-87H/ICB-88H(ハンディ/ヘリカルアンテナ):4,000円~6,000円
ハードウエアの特徴はそのままにICB-870/ICB-880をヘリカルアンテナ仕様にしたモデル。学校や自治会で使用されていたためか、オークションへの出品が大変多いですが、ヘリカルアンテナは至近距離での交信を目的としたものですので、遠距離交信には向いていません。
市民ラジオを初めようとする方が1台目に購入する機種としてはお勧めしません。
ICB-87R(ハンディ):10,000円~15,000円外観的には
ICB-870のロッドアンテナを電波法ギリギリの197cmに拡大したモデルです。中の回路や配色の他、スピーカー周辺の材質も変更になっています。ソニーが2005年まで販売した最後の市民ラジオです。
ポイントとしてICB-87Rには前期型と後期型が有り、後期型は製造先が協力会社に移されて一部にアンテナの調整が不良で送信・受信共に性能が低い製造ロットが出回っています。性能が低いロットに当たる確率も高いため後期型を購入対象としない方が賢明です。(再調整を施して改善されているものであれば問題ありません)
前期型と後期型の区別方法は次の通りです。オークションで探す場合は注意して下さい。
・前期型技術適合シール・・・左側側面
・後期型技術適合シール・・・裏面
なお、出展者が故意に技術適合シールの位置が判りにくい画像を用意する場合がありますので、注意して下さい。
1台のみ所有するのであれば、ICB-87Rの前期型をお勧めします。
■ナショナル
RJ-580(ポータブル):30,000円~40,000円
アンテナも最長で送信・受信共に性能はトップクラス。単一電池を9本使用する上、ケースの一部が金属性のため重量級。
RJ-580D(ポータブル):40,000円~50,000円
RJ-580を送信スイッチ内蔵マイクに改修したモデル。希少性が高いため、ヤフオクで120,000円で取引された実績が有り。
RJ-570/RJ-570D(ポータブル):15,000円~20,000円
タテ置きスタイルでBCLラジオ風の外観。ほどほど人気も高い。ソニーのハンディ機のICB-87Rと比較して送信・受信共に劣ります。
RJ-450/RJ-450Z(ポータブル):6,000円~8,000円
外部マイクに送信ボタンを内蔵している。近距離での業務用途を重視しておりアンテナが短く、Sメーターも無い。送信・受信の性能はハンディ機レベル。残念な事にボリュームを目一杯にしても音が大きくならない個体が多い。1台目として持つにはハードルが高い。
RJ-410/RJ-410Z(ハンディ):3,500円~6,000円
8チャンネル機としては最も小型で携行性に優れており受信感度も先輩機のRJ-380/480より優秀。改造する事無く、送信ボタン内蔵の外部マイクが取付可能。唯一Sメーターが無い点は残念だが、安く出回っているのでお勧め出来る1台です。
RJ-411/RJ-411A(ハンディ/ヘリカルアンテナ):3,000円~4,500円
RJ-410をヘリカルアンテナ仕様にしたモデル。小型なので取り回しが良好だが、遠距離交信は全く不適。屋内など至近距離での運用に便利。
市民ラジオを初めようとする方が1台目に購入する機種としてはお勧めしません。
RJ-480/RJ-480D/RJ-480Z(ハンディ):4,500円~6,000円
感度が衰えた個体が多いのが特徴。衰えているとSメーターが左に張り付いたまま振れなかったり、ボリュームをMAXにしても音が大きくなりません。中には感度が衰えてない個体も存在しますから、購入するならば必ず実機を見ましょう。受信回路の性質上、コンディションが良くなると28MHzのCWの混信を受ける欠点が有ります。
RJ-481/RJ-481Z(ハンディ/ヘリカルアンテナ):4,000円~5,000円
ハードウエアの特徴はそのままにRJ-480D/RJ-480Zをヘリカルアンテナ仕様にしたモデル。遠距離交信には不適。屋内など至近距離での運用に便利。
市民ラジオを初めようとする方が1台目に購入する機種としてはお勧めしません。
RJ-380(ハンディ):3,500円~5,000円
RJ-480以上に感度が衰えた個体が多いです。こちらも必ず実機を見てから購入しましょう。同じく28MHzのCWの混信に弱い。
RJ-35(ハンディ):3,500円~5,000円
昭和51年に検定を取得したナショナル最初期の8チャンネル機です。当時使用される電子部品も大きかった事もあり、ポータブル機なみの大きさと重量です。古いですが、古典的シングルスーパーな回路と当時の良質な半導体の使用が幸いして感度が衰えた個体が少ないです。玉数が少なく
意外と狙い目です。
■日立
CH-580(ハンディ):3,000円~12,000円
個人的に思い入れがある市民ラジオです。プリント基板や電子部品は本格的な業務用無線機の要素が取り入れられ、高品質です。隣接して発生したノイズや混信を押さえ込む機能が優れ過ぎて、感度が悪いと誤解されています。実際にアマチュア無線機のIC-706MK2Gだとノイズでかき消されて聞こえなかった電波をちゃんと受信した事にはビックリです。新品が販売されていた頃は家電ルートでの販売もCMも全く無かったため、誰も日立が市民ラジオを販売しているなんて知りませんでした。ほとんどが建設関係の現場に販売された事もあり、オークションに出回っているCH-580は酷使された個体が多く、マジックで会社名や利用者名が書かれたものも少なくありません。素質は優秀ですので、外観の程度が良い物を見付けたら即買いです。送受信の性能はソニーのICB-87Rに比べてやや劣ります。
■番外編(8チャンネル実装機以外、500mW機以外)
2台目となれば自由に選んで良いと思います。利用者の密度を考えると1&2チャンネル以外を実装した機種の方が利用価値が高いです。流量が少ないですが、8チャンネル(裏面の周波数は表記は27.144MHz)が出られる機種を見つけたら即買いです。
ICB-700A(ポータブル):3,000円~4,000円
RJ-56(ポータブル):3,000円~4,000円
ICB-650(ハンディ):1,000円~1,500円 周波数ズレ注意。
ICB-350(ハンディ):1,000円~1,500円 周波数ズレ注意。
ICB-660(ハンディ):2,000円?3,000円
ICB-66H(ハンディ/ヘリカルアンテナ)1,500円~2,000円
100mW機27.144MHz(ハンディ):2,000円~2,500円
100mW機27.144MHz以外(ハンディ):500円~1,000円
昭和30~40年代のもの:価値無し。アンティークコレクション用です。使用に耐えません。
以上です。
想定価格は、時期(Eスポシーズン/シーズンオフ)や流量と需要のバランスでも変わります。初めて市民ラジオを探す方の参考になりましたら幸いです。
QSLカード交換フォーム
隠匿したIPアドレスから投稿されたコメントは削除します。